ピアノが来る日

 「ピアノのへや」の入口を入ってすぐの壁に「ピアノが来る日」という絵がかけてある。
何人かの生徒さんにはご説明したことがあるが、これは私の友人、的場カヨちゃんの銅版画の作品である。かわいらしいメルヘンのようなお家の窓から女の子がにこにこ笑って顔を覗かせている。お家の前にはかわいいピアノの絵のついたトラックがとまっていて、音符模様のじゅうたんがお家の玄関までひかれ、クマの配送員がトラックからピアノを運び出しているという絵だ。
 作者のカヨちゃんは今年、イタリアはボローニャの国際絵本原画展にみごと入選し、デビューを果たした。今ちょうど西宮市大谷記念美術館でその原画展が開かれている。(〜9月25日まで)。友人として大いに誇りに思うし、すごく嬉しい。前からカヨちゃんのファンだったもん。カヨちゃんも子どもの頃ピアノを習っていて、大人になった今でも趣味で弾いている人。だからこんな素敵な絵が生れたのだろう。
 
 ところで、私も初めてピアノが来た日のことはよく覚えている。両親に買ってもらった背の低い薄いブラウンの木目の小型アップライトピアノが自分のうちに運びこまれた日。どれほど嬉しかったろう!そんな気持ちを思い出し、初心に帰ることって大切だと思う。
 そして先日、新たにそんなシーンに出会った。ピアノを始めたばかりの1年生のゆのちゃんのお家に、新しいピアノが運びこまれたのだ。昨日のレッスンの後、お母様から
「来たばかりのピアノで習ったことを寝るまで弾いていました」とメールをいただいた。
ゆのちゃんの気持ちを思うと私も嬉しい。これからピアノとどんどん仲良しになって、ずっと友だちでいて欲しい。