ライアー

 一昨日は、いつもお世話になっている京田辺の「癒しの森」での池末みゆき先生のライアーコンサートに行った。大切な友人を亡くされたところで、ずい分お疲れのようだったが、そんな時こそライアーの音色に癒されるようで、心に滲みる演奏だった。
 最近の子どもたちがこもりうたや童謡を知らないと嘆かれ、こんな時代だからこそ歌いつがれて欲しいと言われていた。そして最近出されたCD「こもりうた」にも入っている、こもりうたを何曲か、聴かせてくださった。
 私は、幸いなことに、母の背中でこもりうたと童謡を聴いて育った。歌が大好きで一日中家事をしながら歌を口ずさんでいた母も、今は難聴を患い、ほとんど聴くことのできない日々を過ごしている。
 コンサートの翌日の日曜日、ふと思い立って母にライアーを聴かせに行くことにした。
母の好きな歌ならひょっとして聞こえるかもしれない。
 普通に弾いても聞こえない母の背中にライアーを当て、グリッサンドをしてみた。響きは伝わるが音としては聞こえないという。次に母の聞こえ易い低めの音域でこもりうたを何曲か弾いてみた。はじめは何も聞こえないと言っていたが、ブラームスのこもりうたを弾くと「聞こえた聞こえた!全部聞こえた!」と言って喜んだ。他の曲は結局よく聞こえなかったらしく、だんだん意気消沈していくので早々に切り上げ、ブラームスを何度か弾いた。
 80才を過ぎて手話サークルに通い、まだまだ覚えられるという母。同居している妹の健康管理のおかげもあって、顔もつやつやして元気そうだった。今のうちに親孝行の真似ごとでもしておこうとライアーを奏でた一日だった。


私の愛器;コロイの美しいライアー